救急救命士と、救急技術員資格をもつ一般的な救急隊員との、最も大きな違いは、救急救命士は「特定行為」が認められていることです。
それでは、救急救命士だけが許されている、特定行為とはどのような行為のことなのでしょうか。
救急救命士とは、救急救命士法の第2条から、厚生労働大臣から免許を受けて、医師の指示をもとに、救急救命処置を行なうことができる、とされています。
救急救命士が行なうことが許可されている特定行為とは、心肺停止状態の傷病者に行なう救急救命処置です。
指導医かメディカルコントロール医師の具体的な指示のもとに、救急救命士のみが行なうことができます。
現場では、携帯電話や無線を使用することで、医師と直接オンラインで接続し、具体的な指示を得たうえで特定行為が行われます。
このような流れのことを「オンラインメディカルコントロール」といいます。
救急救命士が行なうことができる特定行為には、AEDによる除細動処置や、器具を用いて行なう気道確保、乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保があります。
そして、救急救命士の特定行為処置拡大に伴って、2004年7月から、器具を用いた気道の確保に加えて、医療行為である「気管挿管」を、救急救命士が行なえるようになりました。
また、2006年4月からは、薬剤投与認定の取得者による「アドレナリン投与」が認められています。
救急救命士は、自動対外式除細動器(AED)を用いて、除細動処置を行なうことができます。
除細動とは、一般的に「電気ショック」といわれています。
AEDによる除細動は、現在では、一般の人でも行なうことが可能になりました。
しかし、救急現場での除細動は、心電図モニターを解析しながら、波形の確認をした上で行ないます。
機械が全て解析して、判断するという点で、一般の人が使うことができるAEDとは異なります。
また、救急救命士は、乳酸リンゲル液を用いて静脈路確保を行なうことができます。
乳酸リンゲル液は、細胞外液と同じような成分です。
救急現場において、静脈路を確保することができれば、医療機関に到着してすぐに、薬剤の使用ができるというメリットがあります。
救急救命士は、器具を用いた気道の確保を行なうことができます。
食道閉鎖式エアウェイやラリンゲアルマスク、ラリンゲアルチューブなどを用いて行なう気道確保です。
呼吸が停止してしまった傷病者の場合、意識レベルも当然落ちてくるので、気道が徐々に閉塞してきます。
その場合、チューブを通すことで、より確実な気道確保ができ、肺へ空気を通す道を作るという処置です。
救急現場においては、搬送をするので、このような確実な気道確保は大変重要となるのです。
さらに、静脈路確保ができた場合は、強力な強心剤の「アドレナリン」の投与を行なうことができます。
ただ、薬剤投与は、地域メディカルコントロール認定を受けた、「認定救急救命士」でなければ、行なうことができません。
さらに、器具を用いた気道確保に加えて「気管挿管」を行なうことができるようになりました。
気管挿管は、直接気管にチューブを挿入します。
これは、より高い手技が必要とされ、またリスクもさらに高まるので、地域メディカルコントロール認定を受けた、「認定救急救命士」になる必要があります。
これにより、今後の救急活動において、救命率を向上されることが、かなり期待できるでしょう。