救急救命士とは、救急車で救急患者に対して、病院に到着するまでの間に、医師による具体的な指示のもとに、救急救命処置をすることができる資格です。
アメリカなどの「パラメディック制度」を手本としており、「病院前救護」として位置付けられています。
救急隊は消防が運用しているため、救急隊員は、組織的に搬送先の病院とは連携していませんでした。
また、長い間、救急隊員は搬送するだけで、ほとんど医療行為が認められていませんでした。
ところが、1991年4月23日に、病院へ到着する前に行なう救急医療の質を向上させるために、救急救命士法が成立して、同年の8月15日に施行されました。
そして、全国自治体の消防機関に配置されている救急隊に、最低1名を常時乗車できることを目標に、整備されています。
救急活動を行なう上で、救急救命士を含めた救急隊員が、医学的な質を保障するために、それぞれの地域の医療圏ごとに、メディカルコントロール体制を確立することを前提として、整備が進められています。
救急隊のメディカルコントロールとは、救急現場から医療機関へ患者を搬送するまでの間に、救急救命士や救急隊員が行なう応急処置などを、医学的な観点から、その質を保障することを意味しています。
そして、そのためには、次のメディカルコントロール体制を構築することが必要なのです。
1、救急出動から医療機関へ患者を搬送するまで、救急隊が24時間体制でいつでも救急専門の医師などに指示や指導、助言を迅速に求めること。
2、救急隊が実施した活動を振り返り、その医学的な判断と処置が正しかったかについて、事後検証を医師によって行なうこと。
そして、その評価から、知識と技術のさらなる向上を図るために、救急隊は訓練などを行なうこと。
3、救急救命士の資格を取得した後の再教育として、定期的に医療機関での病院実習を行なうこと。
救急救命士は、制度が創設されてから10年以上経過しましたが、救急救命士法に基づいて、医療職の部門に位置付けられるようになりました。
そして、医師などの指示のもとで、救急救命処置を行なうことによって、救命率の向上に大きな成果をもたらしてきました。
しかし、その活動の場は、救急現場であって、医療機関内ではありません。
そのため、他の医療従事者とは違って、臨床の場で、医師等の指示のもと、医学的な経験を十分に重ねることが難しいのが現状です。
傷病者を救急現場から搬送する間に、救命率のさらなる向上を目指すには、救急救命士や救急隊員が実施する救命処置などの質を高め、救急救命士が行なう処置範囲を拡大する必要があります。
そのためには、このメディカルコントロール体制を構築することが、重要な課題となるのです。
救急救命処置において、心肺停止状態の傷害者に行なえる処置として、静脈路確保や気道確保などのような、特定器具を用いたものがあります。
また、認定を受けた救急救命士だけが行なえる処置として、2004年7月に気管挿管、2006年4月にアドレナリンの投与が可能となりました。
また、救急救命士が活動できるための構造を備えた救急車のことを、「高規格救急車」といいます。